研修医OUTLANDのブログ

高齢者に搾取され続ける荒廃した世界の中 財政破綻後の荒野を爆走するのを夢見る

カテゴリ: 税制

GWはみなさんいかがお過ごしでしょうか。病院によると思いますが、僕はGWはお休みを貰えたので、実家に帰省しました。

とはいえ、今回の帰省はのんびりしに帰るというより、仕事の意味合いが強いです。どんな仕事というかというと、

①親への初任給祝い
②親の引っ越し手伝い
③親と電化製品系を20%引きで購入する契約の妥結

①は接待と同義で、②はそのまんま仕事です。人より親に迷惑をかけたという自責の念からの解放という意味でこれらはとても重要な事でした。

学生の頃を思うと、高価なプレゼントを受け取ってくれる状態に自分がなった事を自他共に認められたという事で、経済的な面においてホントに天と地ほどの違いがあります。これは自分にとって本当の自立であり、親と対等な関係になれた事を意味します。自分にとってとても大きいことですし、感慨深いです。

親としての子育て・お受験から就職までの一大プロジェクトが無事終わったわけで、親としても感慨深かったかもしれません。ゆっくりはできませんでしたが、きちんと区切りをつけれてよかったです。

③は私が密かに考えていた計画でした。交渉としても親が気持ちよくなっているこの時期にという打算がなかった訳ではありません。笑

この計画は、新生活で電化製品を多く購入する際にどうしたら安く買えるか?という所から着想しました。

そして、経費で落とせるものは自営の親名義で決算すれば経費として落とせるので、それで節税できた分をキャッシュバックして貰えればwin-winだという結論に至りました。

それで割と生々しい内容でしたが、交渉したところ、はじめは20%もキャッシュバックをする事に眉をひそめられましたが、図を交えながら根気強く続けたところ、親にもメリットがあり損をしない事を理解して貰え妥結に至りました。

自分の中ではwin-winになることは分かっていても、それをうまく伝える事は非常に難しかったし、相手のマネーリテラシーにもかなり依存する事が分かりました。少なからずマネーリテラシーがある相手で良かったです。

というわけで、ある品目のものであれば、20%引きでこの先買うことができそうです。もちろん自営業の親の事業母体があっての事なので、手間や折半の割合は自分が割りを食う事にはなりますが、決して悪くない割合です。家族ということもあり大変満足いく契約となりました。

お金の勉強をしていて良かったと思いました。これからは益々節約が捗りそうで楽しみです。みなさんもお金の話はしにくいものですが、話せる相手でありお互いにメリットがあるのであれば話してみてはいかがでしょうか?

(長いので)はじめにまとめ

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idecoは小規模の節税対策としては確かに有効である。

idecoの最も重要な存在意義は、国にとっての徴税力強化ツールとしてである。

idecoにより間違いなく大きな恩恵を受けるのは国(特別法人税による)であり、次は証券会社(手数料と新規投資参加者増加による)である。全員にとってwin-winであればよいが、そうでないとすれば、1番リスクを被りやすいのはidecoの制度上弱い個人だろう。個人の中でリスクが小さい順に並べると、短期非運用型<長期非運用型<<<短期<長期運用型となるだろう。

よって、長期運用型のideco利用者が1番のカモであり、獲得したいユーザーである。そしてこれを読んだ人が最も忌避すべきポジションである。
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巷で人気のiDecoこと確定拠出年金はどうも怪しいと思わないだろうか。先入観はよくないが、非課税を謳いメリットしかない制度など、国が作り、証券会社が勧めるだろうか。
そんな捻くれた考えに基づきいくつかサイトを見ていて、確定拠出年金の特定法人税を知った。これをみな知っているだろうか。idecoの本を見てみたが書いてあるのは10冊あった内の1冊、しかも1行のみであった。

これはあまり言及されない制度だが、上記のURLから飛んでもわかる通り実在する。ただ現在はこの制度は平成32年まで凍結されている。残念ながら"削除予定"ではない…

この特別法人税は極めて単純で、毎年積立総額の1.173%が税として徴収される。例えば20年間積立ててきた段階で試行されれば、それ以降毎年徴収される事になる。例えば施行された年には、1年分の積立額の20年分×1.173%=23.46%が徴収される事になる。これはもっと知られるべきだろう。国としては知られたくないだろうが。

(この積立と複利の計算が意外とややこしい。例えばこの制度が機能している状態で加入し30年経過すれば、約12%の課税がされることになる。この計算は複雑なため特殊な計算が必要だ。また説明を難しくしていることも問題だ。(計算はこちらでできる。年率は-1.173%と入力する。))

前置きが長くなったが、その特別法人税を前提として、idecoの利用価値を再検討する事が、今回の記事を書いた目的だ。

ではまず、簡易的に計算した例で、idecoの非運用型(単純積立)の利用価値を検討する。

30年間idecoなしの場合
所得税率fig
例えば
月1万積立しない。
年収900〜1800 

受取→1万×12カ月×30年×[100%-(所得税33%+住民税10%)]=205万
205万/360万=57%


30年間非運用の場合
毎月1万円
特別法人税1.173
毎月の管理手数料 167円

60歳での受け取り
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手数料 -167×12ヶ月×30年=-60120

305万-6万の299万
299/360=83%
☆ただし、積立額が大きければ手数料はあまり気にならなくなる。


よって、ideco非利用にくらべ94万お得である。
ideco非利用にくらべ360×83%/360×57%=1.46

つまり、900〜1800の人でリターンは+46%/30年といえる。これは年1.3%の複利で増えた事と同じで、つまり30年間1.3%の定期預金と同じだ。

これが、年収600万の人であれば、360×0.83/360×0.70=1.20で約+20%/30年のリターンとなる。30年間+0.61%の定期預金と同義になる。

こうみると、非投資型のidecoはそこまで悪い制度ではない。(米国1年国債は1.94%であるが)

株式投資で同じリターンを得るには、20%の分離課税を考慮すると、年収900〜1800の場合+47%なので、(147%/30年)/100%-20%=184%/30年となる。よって、もし、年収900〜1800で、30年で株式投資で+84%(2%の複利30年)できる自信がある人なら、idecoの非運用を利用するメリットはない。


これを基準に次は投資型を見てみる。

30年間運用の場合
毎月1万円
特別法人税1.173%
毎月の管理手数料 167円

毎年いくら株式投資の複利があるか。2%とすると毎年1.173%が特別法人税で取られるとすると、毎年+0.827%の複利である。
計算すると+28%/30年らしい。

手数料 -167×12ヶ月×30年=-60120

360×1.28-6=455万

よってideco非利用の205万に対し、+122%/30年である。

ただし、投資型では以下のデメリットがある。

デメリット
①退職所得控除分以上に関して、非課税メリットが消失する(頭打ちになりがち)
②運用能力リスク(→安定して毎年2%本当に増やせるのか)
③受取時に暴落しているリスク



①は、本来の退職金を多くもらう人、または積立額が大きくかつ上手く運用した人には影響する。

以下は一時金受取を選択した場合である。

退職所得控除は
1〜20年目 40万
20〜          70万
で算出される。もし、30年間なら、40×20年+70×10年=1500万となる。

退職所得控除を超えた分に関しては50%が徴税される。元の退職金が多い人、積立額が多い人は要注意である。
もし、うまく運用でき2000万になれば、1500+(2000-1500)×1/2=1750万となる。

50%の課税は大きいためこれは忌避すべきだろう。つまり、idecoでうまく運用するとしても、1500万を限度と考えるべきだ。idecoは節税の手段の一つとしてはある程度有効だが、リターンの頭打ち感は否めない。

(ちなみに、自営業でない人の積立上限は2.3万らしいので、30年特別法人税なしで積立て828万である。個人の状況により大きく影響する人もいるし、退職金のない人はしない。)

②はフリーリスクレートを米国10年国債(3%)を基準にすると、+0.3%なので、+2%というのは大いに怪しい。

個人の運用額がフリーリスクレート(+0.3%)を平均とした正規分布をするとすれば、
30年後の運用額の平均は+9〜10%となる。

しかし、標準偏差次第ではあるが、標準偏差が10%としても17%ほどの人は非運用者を下回るリスクがある。9〜10%の運用益に対してリスクが大きすぎやしないだろうか。

しかし、この計算には問題がある。私はidecoで運用する人の多くが株式投資における幅広い知識・経験を有しているとは考えないため、17%よりもっと多くの人の運用額が結果的に非運用者以下とな事は大いに起こり得るだろう。

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③は最大のリスクだろう。極端な話だが、とても上手く運用する事ができて受取予定の30年目まで+ 122%であっても30年目を前に暴落があり1/3になったとしたら、222%/3=0.74となり、-26%/30年となってしまう。


①〜③より、リターンに対するリスクが極端に大きいように感じるが、どうだろう。

〜番外編〜

国から見たidecoのメリット

idecoの恩恵をもっとも受けるのは徴税者である政府だろう。特別法人税により、国としては投資型のideco利用者にうまくリスクを押し付け好景気には大きな財源とすることができる。安定して株式市場を利用したノーリスクなボーナス財源を作ろう、というのが思惑ではないか。もしそうだとすれば、私のひねくれた?国家論に合致する。

証券会社から見たideco

idecoの宣伝をよく見かけるが、その宣伝コストに見合うメリットは証券会社にあるだろうか。あるとすれば、今まで株式投資に積極的でなかった潜在的なユーザーの発掘のためだろうか。idecoは少額でやや物足りない事も追い風だろう。

〜idecoをめぐる雑感〜(興味ある人以外読む必要なし)


idecoはうまくいけば年金を多く受け取ることはできる個人が存在する事は疑いない。多くの人の福音であるかは疑問の余地が大きい。また本来の最低の生活を保障するという社会保障の点では中途半端な制度だ。


医師のような高額納税者は、比較的得なのも間違いないだろう。しかし、多くの人が言うように手放しに素晴らしい資産形成術とはいえない。

特別法人税をいつか解凍する事を考えれば、私が違和感を感じていた

・iDecoに対する非課税といううますぎる話。(30年間払えば、結局は17%は課税されるのに等しい)

・途中解約が困難な点(非常に不快な点。これは特定法人税の1%がまとまった額になり始めて威力を発揮するため。また、リスクを我々に完全に負わせるため。)

が非常に腑に落ちる。そもそも、この少子高齢化で税収が減る時代に、非課税を国が推奨する理由がない。

ただ、分からないのは

・かなり限られた額しか投資できない点

どうせなら、国としてはもっと大きな額にした方がよいだろう。これは、少額にする事で、イデコのための積立金の徴収の信頼度を下げてしまうからではないか?つまり、誇大妄想的かもしれないが、イデコで集めた金は組織で別に運用され、また、イデコを初期のサブプライムのように商品化されることもあるかもしれない。

いずれにしても、イデコは歳入が足りない政府の考えた狡猾な集金方法に過ぎないと思っている。超長期にはハイパーインフレになるリスクもあるし、超長期の定額というのは、タレブのいうところの「他人に脆さを押し付ける事により反脆さを得る」行為に思える。

もし私がイデコはやるとしても50歳くらいになった時にしようと思う。若いうちはしない。それは、流動性が失われる事と特別法人税と退職所得控除による頭打ちのデメリットを大きく打ち消す事ができるからだ。

(10年間であれば積立金は-1.173%の複利積立でも5%しか減らないからだ。リターンは1×12×10×0.95-167×12×10/1×12×10×0.50(所得2000として)で、約+87%のリターンである。よってこれは10年+6.5%の定期預金と同じになるからだ。)

私の考える現在のidecoの最も高い利用価値は、他人の投資スタイルチェッカーとしてである。なぜidecoを利用した、またはしなかったか、その理由によりザックリとではあるが投資レベル、警戒心レベルを見られる気がする。

再度 まとめ

idecoは小規模の節税対策としては確かに有効である。ただ、idecoにより間違いなく大きな恩恵を受けるのは国(特別法人税による)であり、次は証券会社(手数料による)だろう。全員にとってwin-winであればよいが、そうでないとすれば、1番リスクを被りやすいのはidecoの制度上弱い個人だろう。個人の中でリスクが小さい順に、短期非運用型<長期非運用型<<<短期、長期運用型だろう。


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